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壮大な物語の幕開け
アメリカンコミックが文学になったと評価された伝説のシリーズの第1巻。世界の初めから存在する「エンドレス」という七兄弟の一人，夢を司るドリームを中心にした物語です。ゲイマンは原作で，絵は複数のアーティストが担当。その絵柄の違いもいい。表紙絵やレイアウトも芸術的で，各巻の序文ではスティーヴン・キング，スティーヴ・エリクソン，ピーター・ストラウブ，ハーラン・エリスン，クライヴ・バーカーなどが熱く語ってくれます（この顔ぶれだけでもすごい）。

第1巻では，ドリームが20世紀の初めに英国のある宗教結社に囚われ，水晶球に封じ込められてしまうことから始まります。ドリームは逃げられるのか，奪われた三つの持物を取り戻せるのか。

日本の漫画に慣れていると違和感のある表現もありますが，すごい作品です。ファンタジーであると同時に現代の人間社会も描かれます。欧米の文化，文学，神話に詳しい人が読んだ方が楽しめるでしょう。あとグロテスクな描写が苦手な人はだめかも。私自身グロは嫌なのですが，２巻の物語の力にはまりました。1巻はややマニアックでゲーム的な気がしたので★四つ。でもこれが始まりです。１冊づつでも読めるシリーズですが，最初から通すと細やかな複線のすごさが分かるので，できれば通して読みたい作品です。

コミック界巨匠のブレーク作
　アメコミに馴染みがない人のために説明すると、このFrank Millerという漫画家／漫画原作者は、日本でいえば大友克洋と鳥山明と高橋留美子を足したくらいの影響を、後続の作家たちに与えた人物であるようだ。代表作には、ティム・バートンの映画にも多大な影響を与えた「Batman: Dark Knight returns」のほか、自らもファンだと公言する「子連れ狼」に触発されたとおぼしき｢Ronin｣などがある。
　そして、いまやアメコミ界では押しも押されぬ大御所となった彼がその地位を築くきっかけとなったのは、Marvel Comicsの”Daredevil”の作画を担当してからであった。
　”Daredevil Visionaries: Frank Miller”と題されたこの合本は、ミラーが携わったエピソードを発表順にまとめてあり、１巻目にあたる本書では、主に原作者のRoger McKenzieと組んだ作品（#158〜161、163〜167）が収録されている。

　ミラーの評価が決定的になるのは、作画とともに原作をも担当した＃168以降（vol.2収録）だが、このvol.1でも、McKenzieとともに「新しいタイプの犯罪コミック」を作り出そうとする意欲が伺える。